高齢ドライバーとなった両親や家族に、そろそろ運転免許を自主返納してもらいたいと思っている人は多いですよね。
その際、できるだけスムーズに話を進めたいけれど、思うようにいかず家族が苦労したり、時には関係が悪くなってしまったという声も。
高齢ドライバーがなかなか免許返納に納得してくれなさそうなとき、家族はどのように説得すれば良いのでしょうか。
この記事では、高齢ドライバーのご家族がご本人に免許返納してもらうためにはどうしたら良いかをご紹介します。
自主返納してもらうために効果的な説得方法5選
「高齢ドライバーにこのやり方で説得したら、自主返納してもらえた」と言われている方法を5つピックアップしました。
1. 孫が説得する
自分の息子や娘の言うことには意地になってしまう人でも、かわいい孫の言う事はスムーズに聞いてくれるというおじいちゃんやおばあちゃんは多いですよね。
孫の年齢にもよりますが、まだ小さい場合は大好きな祖父母に事故にあって欲しくないというように感情に訴えかけるメッセージを送るのも良いでしょう。
孫が10代や20代であれば、もしも祖父母が人を傷つけるような事故を起こした場合、孫である私たちの人生も変わってしまうよというような責任感に訴えるのも効果的です。
息子や娘からコンコンと指摘をされるよりも、孫からの一言で動いたという人は少なくないので、試してみる価値はありそうです。
2. 身体的な機能の低下を伝える
70歳の免許更新時に受講が義務付けられている「高齢者講習」や75歳以上で受ける「認知機能検査」でドライバーに機能の低下がみられた場合、専門の医師から診断されます。
身体的な衰えだけでなく、瞬時の判断力や、視界が狭まっていることは、普段の生活では家族でも気がつきにくいものです。
このように、検査を受けることで自身の身体的機能の低下を自覚したり、認知症などの病気が発覚するきっかけにもなります。
3. 断捨離で若返ると提案する
親世代にとって、「断捨離」という言葉は聞きなれない人がほとんど。
逆に「もったいない」からくる、ため込む傾向にあるのが70代以上の高齢者です。
しかし、“物を持たない方が若返る”という説があるのはご存知でしょうか?
最近は「持たない暮らし」としてテレビでも頻繁に取り上げられているんだ。
「古いものに執着することをやめれば、生活が限りなくシンプルになり逆にアクティブになるよ!」と伝えて、断捨離を提案してみてはいかがでしょうか?
「捨てることは良いこと」という概念は、高齢者にとって意外と新鮮なものです。
断捨離をきっかけに、思い切って車を手放すことを検討してくれる可能性もあります。
まずは、家にあるものを一緒に整理をすることから始めてみるのも良いかもしれません。
4. 車の維持費と手放した後にかかる費用を比べる
ムダなお金を使いたくないタイプの高齢ドライバーには、リアルなお金の話をしてみるのも一つの手です。
車を所有しているという事は、必ず毎月の維持費がかかっています。
それに加えて、特別なメンテナンスや、高額な税金。
まずは「決して安くはない費用を今後もこの車に支払うだけの価値があるかどうか?」というのを一緒に考えてみましょう。
車の使用頻度によっては、車の維持費を払い続けるよりも都度タクシーを利用したほうが安く済むかもしれません。返納で乗らなくなった車を高く買い取ってもらう方法もあります。(車一括査定おすすめランキングはこちら)
また、65歳以上の高齢者が免許を返納した場合は特典を受けることができます。
<特典の例>
【東京都】メガネドラッグ
メガネが10%、補聴器は5%割引。さらにメガネスタンドを1個プレゼント
【埼玉県】ミスタードーナツ所沢駅西口ショップ他4店
ドーナツ10個まで定価の20%割引き
【愛知県】ドコモショップ豊川店
新規購入か機種変更をした場合、5,000円引き
【京都府】サイクルハウス大晃
京都市在住者、およびその家族を対象に、自転車の店舗販売価格から5%割引。さらに出張修理の出張費が無料
自治体によっては温泉やレジャー施設の割引券など、家族で楽しめる施設の特典を設けているところもありますので、ぜひチェックしてみてください。
一つ一つはたいしたことなく感じますが 一生涯使えるのでチリツモで大きくお得です。
逆に使わなければ、この先10年は生きたとしても損は大きいですね。
これらの特典を受け取るために必要なのが 「運転経歴証明書」で、運転免許所返納するとを交付してもらえます。
各都道府県別の特典内容は、下のボタンから確認することができます。
5. 本人の命を心配していることを伝える
そして、何よりも一番しっかりと伝えなければいけないのは、本人の身の安全を心配しているということです。
「大切な家族、両親にできるだけ長く健康で暮らしてほしい」
「事故を起こしたり、巻き込まれたりして命を落とすような事があれば今後の自分たちの人生にも大きく影響してしまう」
「せっかくこれまで仕事や、家族を守り頑張って生きてきたのだから、ここにきて車の事故なんかで無駄にしてほしくない」
このように、本人の命や人生を大切にしてほしいということを強く伝えましょう。
実際に説得に成功している人はどうしたんだろう?
免許返納の説得の成功例
SNSなどにも、身内の免許自主返納をあらゆる手段で成功させた人の投稿が多くみられました。
祖母が次の車検で返納しようかなと言っていたので今その判断力があるうちに今返納して欲しいと頼んだらそうだよねと理解してくれた。
大好きなおばあちゃん、事故して欲しくないし被害者にも加害者にもなって欲しくない。
必要なら仕事休んででも買い物でも病院でも連れてってあげる!!!!
やはり、孫の言葉は素直に聞き入れてくれる人が多いようです。
例え、おじいちゃんやおばあちゃんと離れて暮らしていても、電話などで小まめに声を聞かせてあげたり普段から話しやすい関係を築いていると、このような話題でも頑固にならずに耳を傾けてくれるのでないでしょうか。
90歳の祖父が『少しでも世間様に迷惑掛けないように』と認知症を発症する10年以上も前から準備していた事を紹介します。
— ごまたん (@gomachan_ks) April 20, 2019
世話をしている両親いわく『多少は大変だけどおじいちゃん自分で対策してたから…同世代の他所の家庭よりかなりラクだと思う』とのこと。 pic.twitter.com/geZC2s4jSW
この方の場合は、おじいちゃん自身がかなりしっかりしておられて免許の自主返納も含めてかなり早い段階から認知症になった場合の対策を準備してこられたようです。
そのおかげで認知症になった現在もご家族が慌てずにケアをすることができています。
まだ判断力のしっかりしているうちの対策が何より大事ということがわかります。
RTその運転卒業式を我が家は15年前にすでに取り入れてて、おじーおばーが気を悪くすることなく運転を諦めたよ。もちろんちゃんと卒業証書も作り額に入れ応接間に飾り、豪華にホテルで卒業食事会もした。発案した両親凄いと思った。近いうちに叔母の運転卒業式も予定してるよ。
— しげお (@7shigeo) November 14, 2016
免許を返納させるという言い方ではなく「卒業」という言葉を使うと、とても前向きな印象で「今までおつかれさま!」という気持ちにさせてくれますよね。
この方のように、卒業証書や食事会などをすることで気持ちにも区切りがついて、今後の車の無い生活も良いものになると思います。
高齢者が免許返納をしたがらない5つの理由
そもそも、高齢ドライバーが免許を返納したがらない理由はどこにあるのでしょうか?
免許返納がなかなかできない高齢ドライバーの心理を5つ考えてみました。
1. 車を運転できないと生活できない
高齢になっても運転を続ける理由の1つは、車がなければ生活に支障がでるというもの。
特に地方だと、バスや電車の本数も少なく移動がスムーズにいかない場合、物理的に車を使うしかないのです。
普段の買い物や通院、70代以上でも現役で仕事をしていたり、田舎ではおじいちゃんおばあちゃんが軽トラックを運転するのは頻繁に目にする光景です。
この環境から車を奪ってしまうのはなかなか酷と言わざるをえません。
2. 家族に指摘されてつい意地を張ってしまう
高齢者の車の事故が増え、テレビのニュースで取り上げられたことがきっかけで、急に家族の運転が不安になったという人も多いでしょう。
これまで何も言われなかったのに、今になって突然身内から指摘される高齢者ドライバーからすれば、つい意地になってしまうのもわかる気がしますよね。
一旦伝え方を間違えると意地を通してしまう高齢者は多く、運転について話題にあげる場合は慎重に進める必要がありそうです。
3. 家族に迷惑をかけたくないと思っている
車を手放すと、当然 移動が極端に不便になり、時には家族である息子や娘たちに頼らざるを得ない場合があります。
自分の子どもと同居しているなら頼みやすいかもしれませんが、そうでない場合、わざわざ家まで来てもらい送迎を頼むというのは申し訳なくて気が引けると思う人も多いはず。
確かに、ちょっとそこまで行きたいだけなのに、家族に頼むという事が迷惑になると考えて車を手放す事をしない高齢ドライバーは多いのです。
親の免許返納を望んでいる場合、まずは外出の際に頼みやすい間柄の人が近くにいるかどうかも考える必要があります。
4. 自分はまだ大丈夫だと思っている
高齢ドライバーが免許返納に至らない大きな原因は、自分の運転にまだまだ自信があるということです。
20代の頃から運転している場合、50年も乗り続けている車の運転技術に自信があるのは当然です。
高齢になった今でも「自分は問題ない」と思い込んでいる高齢者がほとんど。
いくら家族が指摘したところで、聞く耳を持とうとしない人が多いのです。
地方でも、特に現役で仕事をしている人などは、加齢からくるとっさの判断力や反応が鈍っていることを認めたくないというケースも多く、家族が頭を悩ませる原因ともなっています。
5. 運転が好きで生きがいになっている
いくら高齢になったからと言っても、単に運転が好きな方はたくさんいらっしゃいます。
退職後、家にいるよりは気分転換にドライブといった楽しみもあるでしょう。
毎週末、決まって2〜3時間かけてお気に入りのルートを走行するという人も少なくありません。
また私たちの時代と違い、70代以上の人達にとって、若い頃に取得した運転免許というものは、きっととても誇らしく唯一の資格なのかもしれませんね。
警察は免許返納の説得に協力してくれる?
免許の返納に際して、あなたや家族だけでなく、より現実味のある方法で説得したい!という場合、警察に相談するという方法もあります。
「警察に相談」と聞くと、なんだか両親に申し訳ないような気さえしてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。
近年の高齢ドライバーの事故の増加を受けて警察庁も免許の自主返納を呼びかけており、高齢の両親をもつ人たちが多く相談に訪れています。
警察には「運転適正相談窓口」というのが設けられており、警察庁のホームページに記載されています。
まずはここで相談をし、70歳以上のドライバーに義務付けられている適性検査を受けてみましょう。
75歳以上は加えて「認知機能検査」を受講し、運転技術だけでなく判断力や反応を第三者の目で見極めてくれるのです。
家族の説得に応じなかった人でも、このような専門的な機関で自分の衰えを自覚することで免許の返納を前向きに検討してくれるようになったというケースも多く寄せられています。
高齢者の免許返納の説得方法まとめ
高齢者の免許返納は、その人が住んでいる環境や周りの人たちのサポートが大きく影響します。
特に、離れて暮らしている場合は頭ごなしに返納を促すのではなく、まずはこまめに連絡をするなど、話をしやすい環境をつくっておくことが大事です。
免許を返納した場合の移動手段の代替え案や、近くで協力してくれる身内にも前もって協力を得ておきましょう。
何よりも、事故のない楽しい老後を過ごして欲しいという家族の願いを伝え、前向きに話を進めることができれば、気持ちよく返納に応じてくれるのではないでしょうか。