車を運転していると、ときどき見かける四つ葉の形や もみじの形の高齢者マーク。
“高齢者マークはドライバーが高齢者の証”と知っている方は多いかもしれません。
しかし本来、高齢者マークは何歳から表示するようになっているか、ご存じでしょうか。
くるまand編集部の私 木原は、車好きを周囲に公言していて、毎日運転もしています。
しかし、今回の記事を書くにあたり高齢者マークについて調べるまで、私は
- もみじマークは70歳以上が車に貼るもの
- 四つ葉のようなマークは75歳以上が車に貼るもの
と勝手に思い込んでいました…。
この記事では、そんな『意外に知らない高齢者マーク』について、車に貼る年齢やメリットについてご紹介します!
高齢者マークの表示は70歳以上!
高齢者マークの表示は「70歳以上で車の運転が不安な方」が対象です。
警察庁では、高齢者マークを車に貼るのが好ましい人について、次のように記載しています。
普通自動車を運転することができる免許を受けた、年齢が70歳以上の人で、加齢に伴って生ずる身体機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがある人です。
少し分かりにくいですが、要するに『70歳以上のドライバーで車の運転が不安な方』は高齢者マークを貼る対象者です。
しかし、普段の運転を思い出してふと気づきました…
「あれ?でも実際には、明らかに70歳以上に見えるドライバーが、高齢者マークを表示せずに車を運転しているよね?あれはいいの?」
70歳以上のドライバーに高齢者マークを貼る“義務”はないのでしょうか。
表示義務はなく任意(罰金・罰則なし)
道路交通法によると、高齢者マークの表示は義務ではなく『努力義務(任意)』とされています。
つまり「70歳を超えたドライバーはできるだけ高齢者マークを表示するように努めましょう」ということです。
また、高齢者マークの表示は任意のため、70歳を超えて表示をしていなくても罰金や罰則はありません。
『高齢者マークは70歳以上のドライバーが任意で車に貼るもの』ということは分かりましたが、逆に70歳以下の方や若者が表示する分にはどうなのでしょうか?
(たまにネットで「初心者ドライバーだけど、古い車に乗っているから高齢者マーク付けてやったぜ!」という写真を見かけるので、個人的に気になりました)
70歳以下の方、若者が貼っても問題ない
70歳以下の方や若者が高齢者マークを車に貼っても特に問題はありません。
「若いのに高齢者マークを貼っていたら、警察の人も笑っていた」というSNSコメントもあったほど。
高齢者マークを貼ること自体は違反ではないため、貼っても罰金・罰則はありません。
ただし、高齢者マークの本来の効力もありませんので、その点はご注意ください。
※高齢者マークの本来の効力については、「高齢者マークを表示する2つのメリット」で詳しく書いています。
ここまでで、高齢者マークを貼る年齢については知っていただけたかと思います。
しかし、『街中で見かける高齢者マークは2種類ある謎』がまだ解けていません。
- 四つ葉のようなマーク
- もみじマーク
この2種類の違いは何なのでしょうか。
もみじマークは旧デザインで、当分の間は使用可能
2種類の高齢者マークの違いは、『デザインが新しいか古いか』です。
高齢者マークは「(旧デザインの)もみじマークは枯れ葉みたいだ」という意見が多く寄せられたことから、平成23年2月1日に現在の四つ葉のようなマークへデザインが変更されました。
私がこれまで思い込んでいたように、年齢によって貼るマークが変わっていたわけではなかったのですね…。
デザインの変更により、旧デザインとなってしまったもみじマークですが、当分の間は旧デザインのマークも使用できることになっています。
そのため、現在は
- 四つ葉のようなマーク(現行デザイン)
- もみじマーク(旧デザイン)
この高齢者マークを貼った車をどちらも見かける、というわけです。
ただ、現在は新旧の高齢者マークの移行期間ですので、旧デザインの高齢者マーク(もみじマーク)はいつか廃止されるでしょう。
これから高齢者マークを貼る方は、後々張り替える手間を考えると新デザインの四つ葉の高齢者マークを貼る方が良いかもしれません。
高齢者マークの年齢、種類についてはだんだん分かってきました。
しかし、
「高齢者マークを貼ることは“自分は70歳以上で運転に不安があるドライバーだ”とアピールしているようで、あまりメリットは感じられない」
という方もいらっしゃるかもしれません。
高齢者マークを表示することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
高齢者マークを表示する2つのメリット
高齢者マークを表示することには、大きく2つのメリットがあります。
1. 安心して運転ができる
高齢者マークを車に貼ると、周囲だけでなく自分も安心して運転できます。
高齢者マークを貼っている車が近くを走っていると、周囲のドライバーは「高齢者が運転をしている」と分かるので、長めに車間距離などを取るなど運転に気をつけてくれます。
周囲との車間距離が十分に取られると、気持ちにも余裕ができ、安心して普段どおりに運転できますよ。
2. 幅寄せなど危険運転をしてきた車は罰される
高齢者マークを表示していると、万が一 幅寄せや割込みなどの危険運転をしてきた車に出会ったときに、危険運転をした車は道路交通法によって罰されます。
・高齢運転者標識を付けた普通自動車に危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや割込みをした自動車運転者は処罰されます。(道路交通法第71条第5の4号等)
5万円以下の罰金
反則金
大型自動車・中型自動車等7,000円
普通自動車・自動二輪車6,000円
小型特殊自動車5,000円
基礎点数1点
もしかしたら、70歳以下のドライバーさんでドキッとした方もいらっしゃるかもしれません。これは私も初めて知りました。
もし処罰されてしまったら、反則金も大きいので今後の運転を改めようと思う方も多いはず。
ただ、処罰の対象になるのは、高齢者マークを貼った車に対してわざと幅寄せや割込みをしたドライバーですので、安全運転を心がけていれば罰されることはありません。
しかも“危険防止のためやむを得ない場合を除き”とありますので、
「前方の車が急停止して急ブレーキが間に合わなかったのでハンドルを切ったら横が高齢者マークをつけた車だった…」という場合も処罰の対象にはなりません。
また今のところ、処罰の対象になるのはわざと“幅寄せ”と“割込み”をした場合ですので、高齢者マークの車を追い越しも処罰の対象にはなりません。
とはいえ、高齢者マークをつけている車の周囲の車はできるだけ安全運転をするのに越したことはありませんね。
少し話がズレてしまいましたが、高齢者マークにはこのように危険運転を防止したり、今後減らしていく役目もあるのです。
万が一のときのために、高齢者マークは正しく表示しておくとよさそうです。
高齢者マークを正しく貼り付ける3つのポイント
高齢者マークを正しく貼り付けるためのポイントは3つ。
- 適切なサイズのマークを選ぶ
- 車の前後に貼り付ける
- ボディ(車の外側)に貼り付けられない場合はシール式の高齢者マークがベスト
この3つのポイントを押さえれば、高齢者マークの貼り方はカンペキです。
1. 適切なサイズのマークを選ぶ
高齢者マークを購入するときは、適切なサイズのマークを選ぶようにしましょう。
現在インターネットやカー用品店では様々なマークが販売されていて、デザインや大きさも豊富です。
もしかしたら、
「高齢者マークを車に貼るのは恥ずかしいから、サイズが小さいものがいいな…」
と思って、デザインを重視したサイズの高齢者マークを選ぶ方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実は、高齢者マークのサイズには規定があります。
道路交通法で定められている高齢者マークの適切なサイズは、横幅14.05cm×縦幅15.35cmです。
もちろん、高齢者マークを貼ること自体が任意ですので、どんなサイズの高齢者マークを貼っても違反にはなりません。
しかし、万が一 危険運転をする車に遭遇してしまったとき、適切なサイズの高齢者マークを貼っていなかったら、相手に処罰を受けさせられないこともあり得ます。
たとえ高齢者マークを表示していたとしても、不適切なサイズだったために本来の効力が発揮されないのは残念ですよね。
せっかく高齢者マークを貼るのであれば、適切なサイズのものを選んだほうが自分や相手、周囲のドライバーのためになります。
2. 車の前後の見やすい場所に貼り付ける
高齢者マークを貼る場合は、
- 普通自動車の前面と後面の両方に貼る
- 地上0.4メートル以上1.2メートル以下の部分に貼る
この2点が道路交通法で定められています。
貼り付けの位置は数センチ程度ならズレても問題ありませんが、他のドライバーが見やすい位置に貼ることが重要です。
具体的には、普通自動車の場合
- 前面:ボンネット
- 後面:トランク部分
このような場所に貼ってあることが一般的です。
3. ボディ(車の外側)に貼り付けられない場合はシール式の高齢者マークがベスト
残念ながら一部車種には、一般的なマグネット製の高齢者マークがトランク部分などに貼り付けられないものもあります。
【車に貼り付けられない場所がある車種】
- プリウス:トランク部分
- NSX:ボディ部分
- ロードスター:ボディ部分
- その他、ボディに鉄を使っていない(アルミボディ)車種
ボディに貼り付けられない場合は、シール式の高齢者マークを購入することをおすすめします。
貼ってはがせるタイプの高齢者マークであれば、車がシールでベタベタになることもなく、なおよしです!
↓貼ってはがせるタイプの高齢者マーク
【高齢者マーク・四葉マーク】はってはがせるリタックタイプ 新デザイン KR-003
「え!?もうマグネット式の高齢者マークを買っちゃったよ~」
という方は、両面テープなどで貼り付けるという手もあります。
「吸盤式の高齢者マークも売ってあるから、その方が良いんじゃない?」という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし…吸盤式の高齢者マークをフロントガラスに貼るのはおすすめできません。
高齢者マークは意外にサイズが大きく、フロントガラスに貼ると運転席から“死角”ができてしまいます。
フロントガラスの下の方に貼ったとしても、もしその場に子どもがしゃがみこんでいたら姿は見えませんよね。
また、そもそも論ですが、フロントガラスに高齢者マークなどの認定外のものを貼るのは道路交通法で違反とされています。(車検シールなどのみがフロントガラスに貼るのを認められています)
後面のリアガラスに高齢者マークを貼るのは違反ではありませんが、やはり後方が見えづらくなり危険ですのでおすすめはできません。
他のドライバーから見えやすい位置に貼るという観点からも、高齢者マークは車の外に貼りましょう。
これまでお伝えしてきた、高齢者マークを正しく貼り付ける3つのポイント
- 適切なサイズのマークを選ぶ
- 車の前後に貼り付ける
- ボディ(車の外側)に貼り付けられない場合はシール式の高齢者マークがベスト
これで、高齢者マークを貼るポイントは押さえていただけたかと思います。
では、肝心な高齢者マークはどこで販売されているのでしょうか。
高齢者マークはどこで販売されている?
高齢者マークを販売しているお店は、大きく分けて3種類あります。
免許センターや警察署
高齢者マークは、各都道府県の免許更新センターの売店で販売してあります。
価格は300円程度です。
免許センターの他にも公的な機関であれば、
- 免許更新指定警察署
- 運転免許試験場
これらの機関・施設にも販売してあります。
70歳で受ける高齢者講習を受けたあとに免許センターなどで購入すると、高齢者マークの買い忘れはありません。
また、免許センターや警察署に売ってあるものですので、もちろん道路交通法の規定に従った高齢者マークです。適切なサイズかどうかを心配する必要もありません。
高齢者マークを買うのにお店にわざわざ足を運びたくない、買い忘れを防ぎたいという方は、免許センターなどでの購入がおすすめです。
100均
高齢者マークは、ダイソーなどの100均でも販売されています。
他の商品と同じように、100円+税という安価で購入できる点は嬉しいですよね。
100均の店舗も全国に数多くありますので、自宅近くの店舗で手軽に購入できます。
ただ、売ってある高齢者マークの種類は豊富ではありません。
マグネット式の高齢者マークがつかない車種の方など、特殊な高齢者マークが欲しいという方は、100均での購入は避けましょう。
マグネット式の一般的な高齢者マークで構わないし、あまりお金をかけたくない、急いで高齢者マークを買いたいという方は、100均での購入がおすすめです。
Amazon・楽天
高齢者マークは、Amazonや楽天などのネットショップでも購入できます。
価格は商品やお店によって様々で、貼ってはがせるシールタイプの商品や、くまモンのキャラクターが入った商品など、いろいろな種類の高齢者マークを選べることがメリットです。
ただし、高齢者マークは道路交通法によってサイズが決められていますので、商品のデザインによっては他のドライバーの違反を認められないものもあります。その点だけは注意してください。
機能やデザイン重視で高齢者マークを選びたい方は、Amazonや楽天などのネットショップでの購入がおすすめです。
高齢者マーク・もみじマークまとめ
【この記事で分かったこと】
高齢者マークは、70歳以上で運転に不安があるドライバーはできるだけ表示することがすすめられています。
ただし、高齢者マークを貼ることは『努力義務』ですので、70歳以上のドライバーが車に貼らなくても罰則や罰金はありません。
反対に、高齢者マークをつけている車に幅寄せや割込みといった危険運転をした車には罰金・罰則があります。
70歳以上のドライバーが高齢者マークをつけることは、ドライバーが安全運転を心がける社会につながります。
これから「高齢者マークを車につけようか迷っている」という方は、自分のため、周囲のドライバーのためにも、高齢者マークの表示を前向きに検討されてはいかがでしょうか。