お盆休みに高速道路を利用して帰省や旅行をする方も多いはず。
ドライバーのみなさん、高速道路を利用する前はタイヤの点検をしていますか?
夏の高速道路で気をつけたいトラブルの1つに『タイヤのバースト』があります。
実は、このタイヤのバーストは大事故につながる危険が高いトラブルなんです…。
この記事では、タイヤのバーストについて原因や対策方法をお伝えしています。
お盆シーズン、帰省や旅行で高速道路を利用する予定のある方は要チェックです!
高速道路のトラブルで最も多い「タイヤのバースト」とは…
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タイヤのバーストとは、走行中にタイヤが破裂することを言います。
高速道路などをタイヤが“たわんだ”状態で走行し続けると、タイヤが変形・異常発熱します。(これを『スタンディングウェーブ現象』と言います。)
タイヤが熱で変形している状態で走り続けた結果、タイヤが耐えきれなくなりタイヤがバースト(破裂)してしまうのです…!
タイヤのバーストの瞬間の動画、私もびっくりして思わず「うわっ!」と言ってしまいました…。すごく大きな音と衝撃ですね。
タイヤがバーストすると、長距離の走行は不可能ですし、ハンドルが重くなり操作しづらくなる、ブレーキが効きづらくなど大変危険です。
JAFによると、高速道路でのトラブルは年間を通してタイヤバーストが最も多いとされています。
【JAFのロードサービス救援依頼(高速道路)】
タイヤのパンク、バースト、エア圧不足含む
■年末・年始:611件(28.20%)
■お盆:1,292件(36.48%)
■ゴールデンウィーク:969件(33.62%)
※()内はJAFのロードサービス救援依頼における構成比
1年間の中でも、特にお盆の期間は高速道路でタイヤバーストが起こりやすいようです。
なぜ、高速道路でタイヤのバーストが起きやすいのでしょうか?
高速道路でタイヤがバーストしやすい4つの原因
高速道路は一般道と異なり、時速80~100kmの速度で車が走り続けています。
そのため、高速回転し続けるタイヤは高い負荷を受けてしまうのです。
タイヤバーストが起きる原因は、大きく4つ。
- タイヤの空気圧不足
- タイヤの傷や摩耗
- 道路の落下物を踏む
- 長時間の連続走行
それぞれ詳しく見ていきましょう!
1. タイヤの空気圧不足
タイヤの空気圧不足は、タイヤがバーストを起こす原因の1つです。
日本自動車研究所・安全研究部の小林 隆氏は、スタンディングウェーブとバーストには密接な関係があると言う。
「空気圧が低いとタイヤがたわみやすく、スタンディングウェーブが起きやすくなります。タイヤがたわむと熱を持ち、内部のベルトと ゴムが剥離したり、コードと呼ばれる繊維が損傷し、バーストにつながるのです。テストでは時速210kmまでバーストしませんで したが、空気圧不足のタイヤを長期間使い続ければ、法定速度内でもバーストする可能性はあります」と言う。
このように「空気圧不足のタイヤはバーストしやすくなる」ことは、JAFのユーザーテストによっても明らかとなっています。
タイヤの空気圧不足によるタイヤの“たわみ”は、バーストの引き金となる『スタンディングウェーブ現象』を起こしやすくなるのです。
2. タイヤの傷・摩耗
タイヤの傷や摩耗も、バーストを引き起こす原因となります。
特に高速走行でタイヤに高い負荷がかかると、傷などで弱くなっている部分からバーストやパンクを起こしやすくなるのです。
また、経年劣化によりゴム部分が割れているタイヤも危険です。
3. 道路の落下物を踏む
高速道路を走行中に、他の車の落下物を踏んでバーストすることもあります。
高速道路は時速80km~100kmほどスピードを出して走行していますので、落下物を踏んだときのタイヤへのダメージも大きいのです…。
事前の点検では大丈夫だったタイヤでも、落下物によっては踏んだ瞬間にバーストしてしまう場合もあります。
4. 長時間の連続走行
長時間の連続走行により、タイヤがバーストしてしまうこともあり得ます。
高速道路ではタイヤに高い負荷がかかるため、タイヤが異常発熱してバーストにつながるのです。
特に夏場は道路が高温になりがち。
そのような状況で高速道路を走り続けた場合なども、タイヤがバーストしやすくなるので注意が必要です。
これら4つの原因に1つでも当てはまると、タイヤがバーストしやすい状況になっていると言えます。
バーストによる大事故を防ぐためにも、バーストの“前兆”に気づくことが大切です。
タイヤがバーストする前兆は振動と異臭
タイヤがバーストするときの前兆は『振動』と『異臭』です。
それぞれ、具体的に次のような異変があります。
車全体の異常な振動
- 足回り(アクセル・ブレーキ)やハンドル、車全体に小さな振動を感じる
- 振動は徐々に大きくなり、ガタガタと車全体が揺れだす
タイヤに異変があると、車に振動が伝わります。
車の異常な振動を少しでも感じたら、無理して走行し続けないようにしましょう。
ゴムの焼けるような臭い
ゴムの焼けるような臭いがする場合は、タイヤのトラブルが発生している可能性は高いです。
もしゴムの焼けるような異臭がしたら安全な場所に停車し、後続車など周囲に気をつけながらタイヤが異常発熱していないか確認してください。
これらの前兆に早く気づくことで、バーストを避けられるだけでなく、近場のパーキングエリアに停車するなど大事故を防げる可能性も高まります。
高速道路上で停車するのは、後続車との事故など別の要因で危険です。
「もしかしたらバーストするかもしれない…」と考えながらの運転は、できるだけ避けたいものです…。
不安な気持ちで運転しないためにも、高速道路を走る前にはバースト対策をしておきましょう!
タイヤをバーストさせない!JAFおすすめの5つの対策方法とは?
JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)がおすすめするタイヤのバースト対策として
- タイヤの空気圧を適正にする
- タイヤに傷やひび割れがないかチェックしておく
- タイヤの溝の深さが1.6mm以下だったらタイヤを交換しておく
- こまめに休憩する
- 縁石にはできるだけタイヤを当てないようにする
こちらの5つの対策をご紹介します。
1. タイヤの空気圧を適正にする
運転前に、タイヤの空気圧を適正にしておきましょう。
正しい空気圧は車種によって異なります。
運転席ドアの内側に貼ってあるシールに適正な空気圧が書いてありますので、正しい空気圧を確認して設定してください。
タイヤの空気圧は月に1回、高速道路に乗る前は必ず、適正かどうかを確認しましょう!
2. タイヤに傷やひび割れがないかチェックしておく
タイヤ自体に傷やひび割れがないか確認しましょう。
傷やひび割れがあるタイヤをそのまま使い続けると、パンクやバーストを起こしやすくなり大変危険です…。
特に高速道路は一般道よりもタイヤに負荷がかかりやすいので、タイヤに傷やひび割れがあれば早めにタイヤ交換をしてください。
3. タイヤの溝の深さが1.6mm以下だったらタイヤを交換しておく
タイヤの溝が浅くなっている場合は、タイヤを交換しておきましょう。
溝の深さの目安は、1.6mm以上あることです。(1.6mm以下だと車検が通らないレベルですし、溝が浅すぎるとスリップしやすくなり大変危険です)
ただ、溝が1.6mm以上あっても高速道路でタイヤがバーストした事例もありますので、傷やひび割れなど他の状態もふまえて、タイヤは早めに交換してください。
4. こまめに休憩する
運転中はこまめに休憩し、長時間走行し続けないようにしましょう。
長時間の運転はタイヤにもドライバーにも負担がかかります…。
タイヤバーストだけでなく、ドライバーが運転に集中するためにも、1~2時間おきには休憩を挟むようにすることをおすすめします!
5. 縁石にはできるだけタイヤを当てないようにする
普段の運転や駐車などで、縁石などにタイヤの側面をぶつけないようにしてください。
縁石にタイヤをぶつけてしまうと、タイヤやホイールに傷がつきやすいのです…。
ホイールは、曲がるとタイヤから空気が漏れる場合があり、タイヤのパンクやバーストの事故につながって危険です。
縁石にはできるだけタイヤを当てないように注意しましょう。
タイヤバーストの5つの対策について、おわかりいただけたかと思います!
しかし…
どんなに気をつけていても、バーストが起こるときはあります。
もし、高速道路でタイヤがバーストしてしまったら、どのように対処したら良いのでしょうか。
高速道路でタイヤがバーストしたときの対処方法
もし高速道路でタイヤがバーストした場合…
まずお願いしたいのは『高速道路では絶対に車の周囲を歩き回らないこと』。
高速道路は、一般道と違って想像以上に危険が多い場所です。
どんな事情があろうと、高速道路上で停車すると後続車に追突される可能性が高まります。
高速道路での事故は死亡事故にも繋がりかねませんので、車の周囲を歩き回らないなど、身の安全確保を1番に行動するようにしてください。
さて、タイヤがバーストしたときに具体的にやることは全部で6つ。
- 車を安全な場所に停止させる
- 後続車に故障車があることを知らせる
- 安全な場所に避難する
- 警察に通報する
- JAFを呼ぶ
- 車両保険会社に連絡する
それぞれ詳しく見ていきましょう!
1. 車を安全な場所に停止させる
タイヤがバーストしていることに気づいたら、落ち着いて周囲の状況を確認し、車をゆっくりと安全な場所に停車させます。
高速道路上だと、具体的には次のような場所が挙げられます。
- 路肩
- 非常駐車帯
- サービスエリア
- パーキングエリア
サービスエリアやパーキングエリアに停めることができれば、後続車による追突の可能性も低くなります。
2. 後続車に故障車があることを知らせる
車を安全な場所に停車させたら、後続車に合図をして故障車があることを知らせます。
合図の方法としては、
- ハザードランプをつける
- 発煙筒に着火する
- 停止表示器材(義務)を設置する
これらの3つがあります。
※高速道路で停車した場合、停止表示器材の使用は「義務」です。(道路交通法第75条の11)
高速道路を走る前に、停止表示器材を車に積んでおきましょう。
エーモン 三角停止板 国家公安委員会認定品(認定番号 交F16-2) 6640
¥1,295
発煙筒や停止表示器材は、車線から離れて無理のない範囲で設置しましょう。
また、移動するときは車線を歩かず、ガードレールなどの防護柵の外側を移動してください。
3. 安全な場所に避難する
後続車への合図を設置したら、ドライバー・同乗者はガードレールの外側に避難してください。
高速道路では、停止している車に後続車が追突するケースもあり、車内に残ったり、車道を歩いたりするのは大変危険です。
追突した車がガードレールに向かってくることもありますので、ガードレールからできるだけ離れて待機しましょう。
4. 警察に通報する
全員が安全な場所に避難してから、警察などに通報してください。
連絡する方法は、
- スマホで警察(110番)に電話する
- スマホで道路緊急ダイヤル(#9910)に電話する
- 非常電話を使う
この3つです。(いずれか1つでOKです!)
非常電話は、受話器を上げるだけで道路管制センターに繋がります。
高速道路では1kmおきに設置されていますので、近くに非常電話があれば利用しましょう。
通報中も、他の車には十分注意してください。
5. JAFを呼ぶ
警察などへの連絡が済んだら、タイヤ交換のためJAFを呼びましょう。
タイヤがバーストした場合、タイヤを修理することはできません。タイヤごと交換する必要があります。
JAFを呼ぶと、高速道路上でも出動・対応してくれます。
タイヤ1本の交換にかかる費用は以下のとおりです。
【JAFのタイヤ交換(1本)にかかる費用】
■会員:無料
・SA内・SA外ともに24時間無料
■非会員:3万円前後~
・SA内(8:00~20:00):13,080円+JAFの出動にかかる高速料金
・SA内(20:00~8:00):15,130円+JAFの出動にかかる高速料金
・SA外(8:00~20:00):19,250円+JAFの出動にかかる高速料金
・SA外(20:00~8:00):22,330円+JAFの出動にかかる高速料金
※2本以上交換する場合は、別途見積もりが必要です。
下記のリンクをクリックすると、JAFの公式サイトへ移動します。
6. 車両保険会社に連絡する
事故の状況や補償内容によっては、車両保険が使える場合があります。
ただし、バースト・パンクでタイヤだけ損傷した場合は、保険は適用されないことがほとんどのようです。
補償内容を確認するためにも、保険会社に問い合わせてみることをおすすめします。
高速道路でのタイヤのバーストまとめ
高速道路では、タイヤに高負荷がかかりバースト(破裂)が起こりやすくなります。
普段の点検はもちろん、高速道路に入る前には特に、タイヤの空気圧や傷・溝などを確認するなどの安全対策をしておきましょう。
せっかくのお盆休みですので、車の安全点検をしっかり行い、家族で楽しく過ごしてくださいね♪