運転免許返納手続き

「運転免許証の返納方法が知りたいけど、警察や県のホームページは難しくてよく分からない…」

「結局何を準備したらいいの?代理申請はできる?」

相次ぐ高齢ドライバー事故の報道を受けて、ご家族の免許証の返納を考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、いざ手続き方法を調べてみても難しくてよくわからない…

この記事では、免許返納の手続きをするにはどうしたら良いのか、返納したらどうなるのかをわかりやすくお伝えします。

運転免許証を返納するには

運転免許証を自主返納するのは意外に簡単です。

返納手続きは、

  • 警察署か免許センターで手続き可能
  • 手続きの予約は不要
  • 返納手続き手数料は無料(運転経歴証明書の発行手数料は1100円)
  • 事前準備の時間を除けば当日1時間程度で手続きは完了

このように手続きの手間・費用はほどんどかかりません。

また、自主返納するときには「運転経歴証明書」を発行できます。

この運転経歴証明書は、

  • 自主返納の証明
  • 身分証明

こちらの2つの役割がありますので、発行しておくことを強くおすすめします。(自主返納の特典を受けるときにも、この運転経歴証明書の提示が必要です。)

この記事では、自主返納の手続きのときに運転経歴証明書を発行する前提で手続き方法をご紹介します。

※運転経歴証明書は、後日発行もできます。(自主返納後5年以内)
ただし、代理人による運転経歴証明書は自主返納手続きをした時しか申請できませんので注意してください。

運転免許証を自主返納できる条件

運転免許証を自主返納できる条件は、免許の有効期限内であることです。

有効期限が切れてしまっている免許証は自主返納できません。

有効期限が切れている場合は免許証を「返納」するのみとなり、運転経歴証明書を発行できません。

手続きを準備をする前に、免許証の有効期限が切れていないかを確認してください。

代理人による本人以外の返納も可能

自主返納は本人の意思によって運転免許の取消しをする制度ですので、原則として申請者本人が手続きをする必要があります。

しかし、次のような場合は代理人による返納申請も可能です。

【代理人申請ができる場合】

  • 申請者本人が病気等で入院中・施設入所中の場合
  • 申請者本人が自宅療養中で窓口に来られない場合

※申請時に電話などで申請者本人の意思確認ができることが条件です。

■代理人申請ができる人

  • 親族(3親等以内の親族)
  • 申請者本人が入院中の病院職員
  • 申請者本人が入所中の介護施設職員
  • 成年後見人
    ※認知症や知的障がい等の精神上の疾患などで判断能力が著しく低下した人の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて本人の財産保護や身上監護をする人のこと

また、次のような場合は代理人による申請はできません。

【代理人申請ができない場合】

  • 運転免許証を紛失している場合
  • 運転免許証が汚損等によって、内容の一部が判読できない場合

自主返納について不安な場合は、一度都道府県警察の交通総務課に問い合わせをしてみることをおすすめします。

運転免許返納手続きの流れ

運転免許証の返納は、

  1. 運転経歴証明書用の写真を準備する
  2. 自主返納に必要なものを準備する
  3. 警察署か運転免許センターに行く
  4. 運転免許取消申請書を記入し、必要なものを提出する
  5. 「運転経歴証明書」を申請する

こちらの5ステップで完了します。

運転経歴証明書は自主返納のときに発行しておくのが最も手間がかかりませんので、この記事では運転経歴証明書を発行する前提で手続き方法をご紹介します。

    1. 運転経歴証明書用の写真を準備する

    免許証の返納と同時に運転経歴証明書を発行するためには、縦3cm×横2.4cmの申請用の写真が1枚必要です。

    写真屋さんか、スーパーなどにもある証明写真機で申請用の証明写真の準備をしておきましょう。

    申請用写真は、

    • 帽子を被らずに撮影したもの
    • 正面を向いて撮影したもの
    • 胸から上を撮影したもの
    • 背景に写り込んでいないもの
    • 申請する日から6か月以内に撮影したもの

    これらの条件をクリアしていないと運転経歴証明書の申請ができませんので注意してください。

    免許センターで返納する場合は、手続き当日に免許センターでも申請用の写真を撮影できます。

    2. 自主返納に必要なものを準備する

    自主返納の手続きに行く人が誰かによって、自主返納に必要なものは異なります。

    • 本人(と家族)が申請に行くか
    • 本人は行かずに家族が代理申請するか

    この2通りのパターンがありますので、申請に行く人に合わせて必要なものを準備してください。

    【本人(と家族)が申請に行く場合】

    1. 返納する運転免許証
    2. 印鑑
    3. 本人の身分証1点(住民票、マイナンバーカード、保険証など)
    4. 縦3cm×横2.4cmの運転経歴証明書申請写真 ※免許センターで当日撮影も可能
    5. 運転経歴証明書の交付手数料(1100円)

    【本人は行かずに家族が代理申請する場合】

    1. 返納する運転免許証
    2. 代理人の印鑑
    3. 委任状兼確認書(免許返納者本人が記入)
    4. 誓約書(代理人が記入)
    5. 代理人の身分証1点(運転免許証、住民票、マイナンバーカード、保険証など)
    6. 縦3cm×横2.4cmの運転経歴証明書申請写真
    7. 運転経歴証明書の交付手数料(1100円)

    ※3、4については、各都道府県警察のホームページか、各都道府県のホームページに準備されています。事前にダウンロード・印刷・記入をし、当日持参してください。

    3. 警察署か運転免許センターに行く

    運転免許証の自主返納は、

    • 自宅近くの管轄警察署
    • 各都道府県の運転免許センター

    このどちらかで手続きできます。

    それぞれ次のような特徴があります。

    【警察署で自主返納する場合】

    ■受付時間

    • 平日

    ※受付時間は各警察署によって異なります。

    ■メリット

    • 近くにあって便利

    ■デメリット

    • 土・日・祝日は対応していない
    • 運転経歴証明書の交付(受取)まで2週間程度かかる
    • 免許証を失くしている場合は手続きできない

     

    【運転免許センターで自主返納する場合】

    ■受付時間

    • 平日
    • 日曜

    ※受付時間は免許センターによって異なります。

    ■メリット

    • 日曜日も対応している
    • 運転経歴証明書の即日発行が可能
    • 免許証を失くしている場合でも手続きが可能

    ■デメリット

    • 免許センターが郊外にある都道府県が多く、アクセスが不便
    • 土曜日・祝日は対応していない

     

    警察署と免許センター、どちらで手続きをしても費用・手続き方法は同じです。

    しかし、自主返納するドライバーのご家族が車で一緒に手続きに行けるのであれば、日曜日などに手続きの処理が早い免許センターに行くのが間違いなさそうです。

    ■本人1人で手続きに行く場合は「移動手段」に注意

    本人1人で自主返納に行く場合は、自動車で行くことができません。

    自主返納後は、当然ですが帰り道は運転免許がない状態です。自動車を運転してしまうと「無免許運転」となりますので注意してください。

    本人1人で手続きに行く場合は、バスかタクシーを利用しましょう。

    4. 運転免許取消申請書を記入し、必要なものを提出する

    警察署や運転免許センターには「運転免許取消申請書」の用紙が準備されています。

    手続き当日に警察署か運転免許センターでこちらの申請書に必要事項を記入し、他の必要なものと合わせて提出してください。

    5.「運転経歴証明書」を申請する

    自主返納の手続き後に、運転経歴証明書の申請をします。

    準備した証明写真と身分証を提出してください。

    また、運転経歴証明書は発行手数料が1100円必要となりますので、あらかじめ準備をしておきましょう。

    運転免許センターで申請した場合、運転経歴証明書は原則的に即日交付してもらえますが、混雑具合によっては作成に時間がかかる場合もあります。

    警察署で申請した場合は、運転経歴証明書の交付(受取)まで2週間程度かかります。

    運転免許証の自主返納後はどうなる?返納後に起きる本人・家族への4つの変化

    運転免許証の自主返納後は、本人だけでなくご家族の生活に影響があります。

    運転免許証の自主返納後に受ける影響について、4つの例をご紹介します。

    免許証としての役割がなくなる

    免許返納後は、運転免許証には穴が開けられ、自動車の運転はできないことはもちろん、身分証としても使うことはできなくなります。

    ただし、返納後に「運転経歴証明書」を発行すればそちらを身分証として使うことができますし、自主返納した高齢者を対象にした特典を受けることもできます。

    運転経歴証明書については、下のボタンをクリックすると詳しく見ることができます。

    本人の気力・判断力が低下する恐れがある

    車を運転できなくなると、出かけるのが億劫(おっくう)になって引きこもりがちになったり、人と会わなくなって認知症が進行する場合もあります。

    本人が他の楽しみを見つけたり、積極的に家族の時間をつくったりして、本人が充実した生活を送れるよう家族の協力が必要です。

    万が一 認知症が進行した場合は、すぐにかかりつけの病院へ相談しましょう。

    また、返納後の悩みを保健師やケアマネージャーに相談できる自治体もあるので、返納後の生活が不安な場合は各相談機関を利用されることをおすすめします。

    65歳以上の高齢者が自主返納すると特典が受けられる

    運転免許を自主返納し運転経歴証明書を発行すると、様々な特典を受けることができます。

    ここでは、

    • 東京都
    • 神奈川県
    • 埼玉県
    • 千葉県
    • 大阪府

    この5つの都府県で受けられる特典(一部)をご紹介します。

    東京都の特典

    ・寿交通株式会社
    運転免許返納割引としてタクシー代金を10パーセント割引(他の割引とは併用不可)
    電話:0422-32-5188(代表)

    ・ビックカメラ(池袋本店・池袋西口店・有楽町店・新宿西口店・ビックロ・渋谷東口店・立川店・JR八王子駅店・赤坂見附駅店)
    メガネ・補聴器ご購入時10パーセント割引
    電話:03-5951-6646

    ・クルマ買取JCM(ジェイシーエム)
    無料で出張査定。自動車買取時に商品券1万円分をプレゼント
    電話:0120-322-755

    神奈川県の特典

    ・株式会社髙島屋(横浜店・港南台店)
    神奈川県・東京23区内にお住まいの65歳以上のお客様はお買上品のご自宅への配送料無料(嵩物など一部除外あり)
    電話:045-311-5111

    ・伊勢丹
    自宅への配送料無料(一部除外あり)
    電話:03-6205-6006

    ・万葉倶楽部グループ
    入館料割引(各館により割引額が異なります)
    電話:0570-07-4126(横浜みなとみらい万葉倶楽部)

    埼玉県の特典

    ・深谷市コニュニティバス「くるリン」
    1日乗車兼50%割引(他の割引制度との併用不可)
    電話:048-571-1211

    ・シャトルバス「はにぽんシャトル」
    運転経歴証明書の提示で回数乗車券1,000円分を600円に
    電話:0495-25-1111

    ・西部ハイヤー(株)
    タクシー代金10%割引
    電話:04-2994-8180(所沢営業所)

    千葉県の特典

    ・国際空港交通
    タクシー乗車運賃の1割引
    電話:0476-24-2665

    ・いすみ鉄道
    乗車運賃の半額(いすみ市、勝浦市、大多喜町、御宿町の住民限定)
    電話:0470-82-2161

    ・京成バス
    乗車運賃の半額(現金のみ)※ノーカーアシスト優待証(交付手数料520円)の提示により、70歳以上の本人のみ、発行より2年間有効
    電話:047-712-7364

    大阪府の特典

    ・大阪第一交通グループ
    タクシー乗車運賃から10%割引
    電話:06-6644-0567

    ・通天閣
    一般展望料金(大人)を100円割引
    電話:06-6641-9555

    ・北おおさか信用金庫
    同居親族のマイカーローン21 金利0.5%優遇
    電話:072-623-4981(本部)

     

    車の必要経費が不要になる

    運転免許を返納すると車を所有する必要がなくなるため、自動車税や自動車保険料、車検代、駐車場代、ガソリン代、整備やメンテナンスの費用などを支払う必要がなくなります。

    免許証返納の次のステップとして車を処分することが考えられますが、高齢ドライバーが長年愛用してきた古い年式の車であれば、中古車として高く買い取ってもらうことは難しくなります。

    その場合は、思い切って廃車にすることも選択肢の一つです。

    専門の廃車業者にネットから依頼すると完全無料で廃車してもらえますし、ディーラーや中古車買取業者で買い取ってもらえなかった車でも買取の値段がつく可能性は高いです。

    おすすめの廃車業者については下の記事で詳しく書いていますので、廃車を検討される方はぜひご覧ください。

    免許返納の気になるアレコレ

    免許返納の手続きについて、気になるアレコレをまとめてみました。

    「運転経歴証明書」は必要?

    「運転経歴証明書」とは運転免許証を所有していた証明書のことで、自主返納をした人だけが申請することができます。

    運転経歴証明書には、申請によって取り消した免許証の種類や交付日、申請者の住所、氏名、生年月日などが表示されていてカード状のため、見た目は免許証に似ています。

    運転経歴証明書の発行は任意ですが、自主返納時に発行しておくことを強くおすすめします。

    理由としては、

    • 身分証として使用できる(有効期限なし)
    • 自主返納後に特典を受ける際に提示が必要

    この2点が挙げられます。

    運転経歴証明書は、有効期限に限りがある運転免許証と違って期限がなく、公的な身分証明書として生涯有効なのが特徴です。

    また、自主返納した65歳以上の高齢者が各自治体の特典を受ける際には、この運転経歴証明書が必要となります。

    運転経歴証明書の申請は、下記の条件をクリアしていれば申請することができます。

    • 運転免許の全部取り消しを行っている(一部取消は申請できません)
    • 運転免許を自主返納してから5年以内に申請
    • 運転免許証の取消基準に該当しない
    • 免許停止中、免許停止の基準に該当しない
    • 再試験の基準に該当しない

    運転免許の取り消しや免停を受けているドライバーは運転経歴証明書の申請ができませんので、注意が必要です。

    また、運転経歴証明書も代理人による申請は可能ですが、その場合は自主返納の手続き時のみ申請できるようになっています。

    期限切れの免許証でも返納できる?

    有効期限が切れてしまった免許証でも返納することは可能です。

    ただし、有効期限内の免許証の返納(自主返納)とは取扱いが異なります。

    返納に関する手続きは不要で、警察署か免許センターに行き「運転免許証を渡すだけ」です。

    本人が返納する場合は身分証や印鑑などは特に必要ありませんが、代理人が返納する場合は、代理人の身分証が必要となります。

    また、期限切れの免許証を返納しても運転経歴証明書の発行はできません。

    つまり、自主返納の特典も受けることができませんので注意してください。

    本人が死亡している場合も返納できる?

    本人が死亡している場合でも、免許証を返納することは可能です。

    返納すると、免許更新のはがきが届かなくなります。

    返納する際は、死亡したことを証明する書類の写し(死亡診断書・除票・葬儀案内状・新聞のお悔やみ欄)が必要です。

    運転免許返納手続き方法まとめ

    この記事でわかったこと

    自主返納の手続きを見て、「意外に簡単」と思われた人も多いのではないでしょうか?

    すでに免許返納を決断されている場合は、免許証の有効期限内に手続きすることが返納後の生活をより良くするカギとなりますので、できるだけ早く手続きに行かれることをおすすめします。

    これからご家族が免許証返納するかどうかを検討される方は、次の記事にも高齢者の免許証返納について詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

     

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